化学特許実務
〜Affidavits又はDeclarationsによる拒絶理由の解消
1998年9月1日
菊間 忠之
(理解が及ばず、誤りなどがあるかもしれません。ご指摘、ご指導を頂ければと思っております。メールでご連絡ください。)
1.はじめに
米国特許の実務に於いて、Affidavits又はDeclarationsは頻繁に使用される。
Affidavit(宣誓供述書)とは、米国公証人又は米国によって承認された事務官の前で宣誓して行われた陳述のことをいい、宣誓陳述者と公証人等とが該書面に署名している。
Declaration(無宣誓供述書)とは、誰か証人となるものの署名無しに、行われた陳述のことをいい、陳述者だけが書面に署名している。日本から米国に出願する場合はほとんどDeclarationを提出する。
米国特許庁においては、AffidavitsとDeclarationsとは、同じ重要さで扱われ、同じ効果を生じる。
1)米国出願のために提出するDeclaration(規則1.63)
このDeclarationは、発明者が米国出願するにあたり、出願明細書の記載内容を 確認したこと、関連発明を開示する義務を履行すること、自分が真の発明者であることなどを陳述するものである。このDeclarationは出願のために必要な書類であり、拒絶理由を解消するために規則1.63のDeclarationが使用されることはないと思う。
2)先行技術の所有者が出願人と同一であることを立証するために提出するDeclaration(規則1.130)
102(b)に規定されるもの以外の先行技術によって103条の拒絶を受け、出願発明は先行技術とは同一ではないが非自明性の主張が困難な場合で、先行技術の発明と出願発明とが同一の者の所有にある場合、ターミナルディスクレーマーと本Declarationを提出することによって、該先行技術を引例から除外することができる。
3)発明日立証のために提出するDeclaration(規則1.131)
米国特許法は、先発明主義を採用し、新規性、進歩性の判断を発明の日を基準にして行う。
単に米国出願しただけの場合は、出願日が発明日(Constructive Reduction
to Practice)とみなされ、審査は、出願日を基準に新規性等の判断をするので、実際の発明日が、引例の有効日よりも早いと考える場合には、1.131のDeclarationを提出することによって、該引例による拒絶理由を回避することができる場合がある。
4)その他の事項の立証のために提出するDeclaration(規則1.132)
拒絶理由の争点としては発明日以外に、例えば、発明の非予測的効果、真の発明者の特定、商業的成功、先行技術の資格などがある。これらについての陳述は規則1.132に従って行われる。
本稿では、拒絶理由通知に対する応答でしばしば利用される規則1.131及び規則1.132のDeclarationについて述べる。
2.規則1.131のDeclaration
1)拒絶理由
・規則1.131のDeclarationによって回避できる拒絶理由は、102(a)もしくは(e)による拒絶理由、又は102(a)もしくは(e)の引例を基にした103による拒絶理由に限る。
具体的には、次のような場合である。
a)引例としての特許又は刊行物等の有効日が出願日前1年以内。
b)引例としての米国特許又は出願が、同一発明を明細書中で開示しているが、クレームしていない。クレームされている場合は、引例が他人であればインターフェアレンスで先発明を争うことになる、一方、同一人であればダブルパテントになる。
・次の拒絶理由等においては1.131のDeclarationを提出しても拒絶を解消できない。
a)102(g)の発明日が争点になっている場合
(a)項及び(e)項は刊行物の発行日等が出願日よりも早ければ、該発行日は発明前であるという推定のもとに適用される。一方、(g)項は、引例となる発明の発明日が出願発明の発明日よりも前であるときにだけ適用される。従って、(g)項の拒絶で1.131のDeclarationは使えない。
b)出願発明と同じ発明が引例でクレームされていて、特許性があり、引例と出願とが同一譲受人でない場合に、抵触審査の宣言がなされれば、抵触審査において、発明日の立証を行うことになる。
c)また、譲受人が同一である場合(g)項による拒絶はないが、101条のダブルパテントの拒絶理由が存在する可能性がある。この場合には、発明日を立証してもダブルパテント(二重特許)は解消しないので規則1.131のDecralationの提出は無駄である。
d)102条(b)又は(d)の拒絶理由
これらに対しては、1.131のDeclarationを提出しても、なんら効果がない。(b)項は出願日前1年以前の刊行物等に記述された発明は特許しないという規定であり、(d)項は出願日前12カ月以前に外国で出願され、それが出願日前に特許された発明は特許しないという規定である(この2つの規定は、発明者に早期出願を促し、そして、発明後出願までの間、発明が公表されないことによる弊害(=発明の存在を知ることができない第三者の二重研究や二重投資などの弊害)を無くすための規定である。)から、早い発明日をいくら立証しても、(b)項の出願前1年又は(d)項の出願前12カ月という期間を短縮することはできないから、拒絶理由を解消することはできない。
2)先発明の決定方法(規則1.131(b))
発明日は、次の3つ事象の発生時を考慮して決められる。
−着想
−実施化
−勤勉性
着想とは、発明創作の精神的部分であるが、図面、文書などの証拠によって他人に示すことができなければならない。着想とは単に問題解決方法を漠然と思いついただけでは足りず、その方法を具体的に実施する手段まで考えついていなければならない。
実施化とは、具体的にその着想を実施すること、プロトタイプの製作など。(実施化には実際の実施化日と、擬制の実施化日とがある。実際の実施化日とは上記定義のごとく具体的に着想を実施した日のことをいう。一方擬制の実施化日とは米国出願の日のことをいう。
勤勉性とは、着想を実施化するのに、どれだけ努力していたかというとである。具体的には、実施化に向けて、いつ、何処で何をしたかという記録が、着想の日から実施化の日まで、間断無く(毎日である必要はない。)存在することである。
(先発明者の決定)
a)発明の実施化の日が早い発明者が特許を得ることができる。従って、先ず、擬制の実施化日である出願日を、引例の有効日と比較する。そして、擬制の実施化日が引例の有効日より遅い場合には、発明者は実際の実施化日を本Declarationで立証し、実際の実施化日が引例の有効日より早ければ、特許され得る。
実施化日 引例有効日 米国出願日
−−−−!−−−−−−#−−−−−+−−−
b)発明の実施化の日(擬制の実施化日を含む)として、引例の有効日よりも早い日を証明できないが、発明の着想日が引例有効日よりも早い場合には、引例有効日前から発明の実施化日までの間、リーズナブルに勤勉であったことを立証できれば、特許され得る。
着想日 引例有効日 実施化日(又は米国出願日)
−−−−!−−−−−−#−−−−−+−−−
=======
勤勉性
以上は2発明者間の場合の先発明決定の手順であるが、この手順が3以上の発明者が先発明を争う場合にも適用される。
(問題となる状況)
発明者A、B及びCが先発明を下記のごとき時にそれぞれ発明の着想及び実施化をした。誰が先発明者になるか?(なお、!は着想日、+は実施化日、NDは勤勉性がない、Dは勤勉性がある、ことをそれぞれ示している。)
A −−−−−−−−!−−+−−−−−− ND
B −−−−−!−−−−−−−−−+−− D
C −−!−−−−−−−−−−+−−−− ND
上記a)とb)の手順で3者の先発明を決定すると、AとBとではBが先発明、BとCとではCが先発明、CとAとではAが先発明になる。ちょうど、グー、チョキ、パーのジャンケンと同じ関係(Paradox)になり、先発明を決定できない。
(P. J. Federicoの解)
彼の解によれば、3発明者の内、最初に出願した発明者はSenior partyであり、後願の残り2発明者はJunior
Partyである。
JuniorはSeniorよりも早い発明日の立証をしなければならない。そして、
a)両JuniorともSeniorより早い発明日を立証できなかったら、Seniorの勝ち。
b)一のJuniorはSeniorより早い発明日を立証できたが、もう一のJuniorはSeniorより早い日を立証できなかったときは、早い日を立証できたJuniorの勝ち。
c)両JuniorがSeniorより早い発明日を立証できたときは、次に両Juniorで、先発明を争う。即ち、より早く出願したJuniorをSenior
Partyとし、おそく出願したJuniorをJunior partyとし、JuniorがSeniorより早い発明日の立証を行い、立証できれば、Juniorの勝ち、立証できなければSeniorの勝ちである。(但し、同日出願のケースではこの解は適用できないので、Paradoxは残ったままになる。)
3)着想、実施化及び勤勉性を立証するための証拠
着想、実施化及び勤勉性は、これら事実に関する十分な証拠によって立証される。証拠等によってサポートされていない、単なる総括的な主張だけでは、これら着想、実施化及び勤勉性を立証できない。
MPEPによれば、次のものを証拠として提出することができるとしている。
1)スケッチ
2)設計図(青写真)
3)写真
4)ノートブックに記述されたものの複製
5)模型
6)証人による陳述(証拠が口頭陳述に頼っている場合)
7)抵触審査における証言(抵触審査禁反言)
8)開示文書
これらの証拠等によってサポートされている限り、着想又は実施化の日をDeclarationの中で、日付を特定して陳述してもよいし、単に引例有効日前の日であると陳述してもよい。
4)ジェネリッククレームの発明日の立証方法(MPEP715.02及び.03)
ジェネリッククレームの発明日の立証において、どの程度の範囲の発明を示さなければならないのか、すなわち、いくつのスピーシーズ発明を示せばよいのか?
MPEP715.02には、原則として、ジーナスに含まれる、ただ一つのスピーシーズの発明日を示すことで、引例を克服することができると説明している。
但し、化学、生物学などの予測性のない技術分野に於いては、この原則は当てはまらない。
予測性のない技術分野(化学など)におけるジェネリッククレームの発明日の立証はMPEP715.03に説明されている。それによれば、
A)出願人は引例に開示されているスピーシーズ(ジェネリックに包含される)の発明日(実施化日)が引例の有効日より早いことを示せば、ジェネリッククレームは特許される。引例が複数のスピーシーズ(ジェネリックに包含される)を開示していたら、引例に開示されているすべてのスピーシーズについて発明日が引例の有効日より早いことを示す必要がある。
B)出願人が、引例に開示されているスピーシーズの実施化日が引例の有効日より早いことを示すことができない場合は、次のことを示すことで、引例を克服できる。
i)出願人がジェネリック発明を着想し、そして、そのジェネリック発明をサポートする十分な数のスピーシーズが引例の有効日より前に実施化されていたこと。又は
ii)出願人が引例の有効日よりも先にジェネリック発明を着想し、そのジェネリック発明をサポートする十分な数のスピーシーズを実施化するのに、引例の有効日以前から実施化日(有効日より遅い日)までの間、勤勉であったこと。
iii)マーカッシュクレームの場合、引例がマーカッシュグループの中の1のメンバーを開示し、他のメンバーを開示していない場合には、引例が開示しているメンバーの発明日が、引例の有効日より早いこと、引例に開示されていないメンバーの発明日が引例の有効日より早いことを示しても引例を克服することはできない。
十分な数がいくつであるかは明確でないが、ハロゲンのような小さいジーナス、これには4つのスピーシーズが含まれている、の場合には、2−3個のスピーシーズを示せば十分であろう。百のスピーシーズを含むようなジーナスでは、それに見合った数のスピーシーズを示す必要があるであろう。
ただし、判例では、このルールに一貫性を与えていないので、ケースバイケースで考える必要もある。
5)誰が、Declarationをするか?(MPEP715.04)
A)発明の主題に係わる全ての発明者
発明者の一部の者が署名を拒否又は署名できない場合には、残りの発明者の署名だけでDeclarationすることができる。但し、署名していない発明者の名前はDeclarationに記述しておく必要がある。
B)拒絶されているクレームが、発明者の一部の者によってなされた発明である場合はその一部の者だけでDeclarationをしてもよい。例えば、発明者A及びBの共同発明で、あるクレームについては、発明者Aだけ発明者であるときには、発明者AだけでそのクレームについてのDeclarationをしてもよい。
C)譲受人又はその他の利害関係人、(発明者がDeclarationをすることができない場合)
3.規則1.132のDeclaration
1) 規則1.132によって、出願クレームの拒絶理由を回避するために関連する証拠を示すためにDeclarationを出すことができる。提出できる証拠は拒絶を回避するために必要なものならば、なんでも良く、出願人が最良と思うものを提出することができる。
例えば、
A)102(a)の拒絶理由は他人の先行文献について適用され、本人には適用がない。例えば、引例となった文献の著作者が、出願発明の発明者であることを示すために、本Declarationが使われる。
結婚等によって姓が変わったときも、同様に著作者と発明者の氏名が表記上一致せず、発明者の同一性を示す必要がある場合にも使われる。
B)引例となった文献の共著作者の一人が出願発明の発明者である場合に、文献の他の共著作者が、文献記載の発明の発明者でないことを示すことによって、同様に102(b)などの拒絶を回避できる。例えば、大学の教授と学生とが連名で研究発表や論文等をすることがある。この場合に、学生が、教授の実験の補助をしただけで、実際の発明者でないときに、出願発明の発明者が教授だけであることを本Declarationを使って示すことができる。
C)112条の実施可能要件についての拒絶理由が出された場合に、出願時の技術水準等を示し、当業者が実施可能であることを証明するために使われる。
D)拒絶理由の証拠として引用される先行文献の開示は、実施可能要件を満たしていなければならない。実施可能開示要件を満たさない先行文献に基づく拒絶は不適当であるとして、先行文献の実施可能要件を攻撃するために本Declarationが使われる。
E)103条(自明性)のprima facie拒絶に対して反論するときに、 Secondary
Considerationを示すために頻繁に使用される。
Secondary Considerationには(1)発明の商業的成功、(2)長年解決が望まれていた事実、(3)他人の失敗、(4)他人による複製、(5)専門家の懐疑、(6)非予測的効果などが含まれる。
商業的成功は、発明の技術的要素に起因するものでなければならない。宣伝、販売促進策などによる商業的成功は発明の非自明性をサポートするものではない。
2)非予測的効果による103条拒絶の回避
1.132のDeclarationのほとんどは、103条拒絶を回避するために行われ、そのうちの多くは非予測的効果(本発明との比較実験データ)を示すために行われる。
非予測的効果がクレーム発明にあるということが立証され、審査官が納得すればクレーム発明は特許され得る。
では、非予測的効果(比較実験データ)をどのように示せばよいか?
A)本発明の実験データ
本発明の実験データは、クレームの範囲に釣り合ったものでなければならない。クレームが広い場合には、クレームの非自明性を実証するために多くの数の実験例を示す必要がある。実証データが用意できないのであれば、実証データを追加する代わりに、現実証データに釣り合ったクレーム範囲に減縮する補正をしなければならない。
例えば、クレームの要件にアルコールという要件があったならば、クレームに見合った幾種類かのアルコールによる実験データが要求される。しかし、クレームに含まれる全てのアルコールによる実験データを示す必要はない。
In re Boesch(205 USPQ 215)では、
出願人はニッケル合金をクレームしていた。そして合金の構成成分の割合が広い数値範囲で規定されていた。103の拒絶を受けたので出願人は実験データを提出したが拒絶が維持されたので、CCPAに提訴した。
CCPAは、請求人は広い範囲の構成成分比をクレームしているが、実験で提示された合金の構成成分比は非常に狭い範囲であった。例えば、クレームされた炭素の成分比は0.18%(0〜0.18)の幅があったが、実験の合金では0.02%の幅(0.05〜0.07)であった、またクレームされたコバルトの成分比は4.8%(14.2〜19.0)の幅があったが、実験の合金では1.3%の幅(17.5〜18.8)しかなかった。この実験データでは、請求人がクレームする広い範囲に取り込まれる他の合金がいかなる非予測的効果を持つのかを示すのに不十分である。
B)比較実験データ
比較実験データは、先行文献に開示されたものと同一の実験を行ったときのデータでなければならない。なお、先行文献に開示された実験の内容を変更して行った場合は、その変更の理由を説明する必要がある。
Ex parte Westphal(223 USPQ 630, PTO Bd. of App., 1983)では、
Westphalは、3-メチルチオ4-アミノ-6-tert-ブチル-1,2,4-トリアジン-5-オンを含む除草剤をクレームしていた。先行文献には上記化合物と類似の化合物が開示されていたが、tert-ブチル基が官能基として結合していることは開示していなかった。先行文献は炭素数が1〜8個のアルキル基が官能基として結合している旨開示し、具体例としてオクチル基を開示していた。
審査官はtert-ブチルは先行文献の範囲に含まれ自明との拒絶をした。
WestphalはDeclarationでメチル、n-プロピル、n-オクチル、及びブチルの4つの異性体に関する実験比較データを提出した。
審査官はこのDeclarationを受理し、tert-ブチルが他の6つのアルキル基よりも優れていることは認めたが、その実験データにはイソプロピルとイソペンチルが含まれていないから不完全であるとして拒絶を維持したので、出願人は審判を請求した。
審判ではイソプロピル及びイソペンチルのデータを出す必要はない。先行文献には分岐したアルキル基の開示はない。比較データとして先行文献に実際に開示されている化合物又はそれに非常に近い化合物の実験データを出すことは正当なことであると審決された。*この事件ではn-オクチルが、Declarationで提出すべき、必要十分なデータであったと考える。
In re Geiger(2 USPQ2d 1276)では、出願人は最も関係の深い先行技術と自分のシステムとを比較した。クレーム発明を、先行技術中に存在しない主題と比較させることは要求されない。出願人は先行技術を創る必要はなく、又もし先行技術が実際に開示されたものと違うものであったら自分の発明が自明であるかもしれないということを証明する必要もない。
C)非予測的効果
非予測的に改良された特性は、明細書に既に開示されている発明の性状に関係していなければならない。明細書に開示がない場合には、そのような特性の記述を明細書に加えるために継続出願又はCIPをすることもできる。
D)結果の説明
Declarationでは、なぜその結果が非予測的なものであることを説明すべきである。いいかえれば、この技術分野において、本発明による改良が非常に重要なことであることを説明すべきである。
そのような結果が生じる、メカニズムを説明するために、仮説や理論を示すのは好ましくない。仮説や理論は事実ではないからである。もし、このような仮説や理論を示した場合には、発明によって生じた結果は、前記の理論等で予測可能なものであったと、又は自明なものであったと審査官が考えがちになる。(同様に、出願明細書中(先行技術の説明、本発明の機能説明)で仮説や理論を示すのも好ましくない。自明性を自白したような恰好になりやすい。)
4.Declarationの問題点
上記のごとくDeclarationによって種々の争点についての立証をして、拒絶を回避することができる。が、Declarationがファイルヒストリーの中に入るので、侵害訴訟においては、このDeclarationが、侵害被疑者からの攻撃に曝されることがある。
例えば、日本の一部の特許事務所においては、事務処理を速やかに済ませたいがために、Declarationに添付する出願明細書、実験報告書が完成する前に発明者にサイン(署名)をするように求めてくるところがある。署名が書類完成前にされたことが判明すれば、不公平行為とみなされ権利行使不能になりかねない。(97年の米国ケース:出願時に先行技術であるとして示した図面を根拠に審査官が拒絶してきたので、発明者はこの図は本発明をなす前に発明者本人がなした発明であるから先行技術にならないとのDeclarationを出し特許を得た。ところが、侵害訴訟において発明者はDeclarationに署名するときにその内容を確認していなかった、英語を十分に理解していなかったと証言してしまったために、その特許権は権利行使不能になってしまった。)
Declarationを提出するためには実験、事実調査などに時間と金が費やされるので、Declaration提出によって拒絶理由が回避できるか否かの検討を十分にしてDeclarationの準備をすべきである。
以上